フリーランス案件獲得で未経験者が陥る「5つの現実」
フリーランスになれば自由だし、稼げるというイメージを持つSE志望者は多いです。しかし筆者は19年間フリーランスSEとして活動してきた経験から、正直に言うと、未経験者がいきなりフリーランスになると、ほぼ100%案件獲得で苦しみます。それも数ヶ月ではなく、1〜2年続きます。
営業スキルがない場合、案件はほぼ獲得できない
技術スキルが高くても、営業できなければフリーランスSEはスタートラインに立つことすら難しいです。実際には、クライアント企業は「どこの誰だかわからないSE」に仕事を依頼しません。
未経験フリーランスの営業活動の現実
- 案件サイト(クラウドワークス、ランサーズ等)での提案は1%以下の受注率 —— 数百件提案して1件受注できるレベル
- 実績がないため、同じ案件に応募する競争相手は数十〜数百人
- 単価の安い案件から始めざるを得ず、月30万円未満の仕事に甘んじることが多い
- 営業担当者がいない個人では、継続的な営業活動が極めて負担
筆者の知人SEも、サラリーマン時代の営業経験があった人は最初の3ヶ月で案件を獲得できました。一方、営業経験ゼロのSEは6ヶ月以上仕事がないまま、焦って単価を下げていきました。
低単価案件の泥沼から脱出できない罠
実際には、フリーランスSEの案件相場は以下の通りです(2026年現在)。
| 経験年数 | 月単価(目安) | 時給換算 |
| 1〜2年目(初級) | 30〜50万円 | 1,800〜2,500円 |
| 3〜5年目(中級) | 50〜80万円 | 2,500〜4,000円 |
| 6年以上(上級) | 80〜150万円 | 4,000〜7,500円 |
しかし実際には、案件サイトを通じた案件の大多数は30万円以下。未経験フリーランスは低単価案件しか獲得できず、その低い単価実績をもとに次の営業をかけると、さらに低い案件しか提案されません。結果として、月20万円前後の案件に固定されてしまいます。
正直に言うと、ここからの脱出は非常に難しいです。高単価案件を狙おうにも「実績が低い」という理由で断られるからです。
案件サイトの手数料が想像以上に重い
クラウドワークス、ランサーズ、ギークスジョブなどの案件獲得サイトは便利ですが、手数料が非常に高いのが実態です。
実際の手数料相場
- クラウドワークス:受注額の20%(低単価案件)
- ランサーズ:受注額の20%
- ギークスジョブ:受注額の10〜20%
- フリーランス専門エージェント:受注額の20〜30%
月30万円の案件を獲得しても、手数料で6万円引かれます。つまり、実際に自分の手に入るのは24万円です。一方、サラリーマン時代の給与30万円とは比較にならないほどの負担(国民健康保険、国民年金、所得税)が、フリーランスには襲いかかります。
継続案件獲得の困難さ
実際には、1回きりの案件では生活できません。継続案件が必須ですが、その獲得は想像以上に難しいです。
- クライアント企業は「信頼できる外注先」を探している —— つまり、実績のある人材
- 未経験フリーランスは信頼できる実績がないため、継続案件を受け取りにくい
- 短期案件ばかりになると、営業活動のための時間がなくなる
- 短期間で異なるプロジェクトに入ると、スキル習得が進まない
継続案件なしに月60万円以上の収入を得るのはほぼ不可能です。筆者の場合、安定した収入を得られたのは、同じクライアント企業との継続案件が軌道に乗ってからです。それまでは3〜5ヶ月ごとの短期案件を切り継ぎながら、営業活動を続けていました。
クライアント選定の失敗と問題案件
案件サイトの案件情報だけでは、クライアント企業の実態がわかりません。正直に言うと、以下のような「問題案件」に巻き込まれる未経験者は少なくありません。
- 単価は高く見えるが、実は「要件未定義」で納期が短い案件
- 仕様書がなく、営業担当者の説明だけで進める案件 —— 途中で要件が変わる
- 単価は安いが、異なる複数の言語スキルを要求される案件
- クライアント側の責任で遅延しても、納期を守れと言われる案件
- 報酬未払いのリスク —— 特に個人事業主との契約
サラリーマン時代は「営業が契約を結ぶ」ので、変な案件は引いてくれる可能性がありました。フリーランスは自分で見極めなければいけません。その目利きを持たない未経験者は、損な案件を握りしめることになります。
税務・社会保障の負担が想像以上
実際には、フリーランスの経済的負担は月給から計算できません。
月30万円の案件を獲得した場合の手取り
- 案件サイト手数料(20%):6万円 → 残り24万円
- 所得税(20〜30%程度):4.8〜7.2万円
- 国民健康保険:1.5〜2万円/月
- 国民年金:1.6万円/月(固定)
- 個人事業税(業種による):0〜3万円/月
- 設備・通信費・その他諸経費:2〜3万円/月
実際の手取りは月10〜14万円程度。サラリーマンの月給30万円と同じ案件でも、手取りは半分以下です。未経験フリーランスがこの現実を知らずに案件を受けると、数ヶ月で生活が苦しくなります。
技術スキルだけでは不足する理由
フリーランスSEに必要なスキルは、技術力だけではありません。実際には以下の「非技術スキル」が極めて重要です。
- 営業スキル —— 案件を獲得するための営業活動
- 交渉スキル —— 単価交渉、納期交渉、変更要件への対応
- コミュニケーション能力 —— クライアント企業との要件定義、進捗報告
- 税務・会計知識 —— 確定申告、経費計上、節税対策
- リスク管理 —— トラブル案件の見極め、契約書の確認
未経験フリーランスは、これらの非技術スキルがゼロに等しいため、サラリーマン時代のように「営業がいる」環境とは比較にならない負担が発生します。
フリーランスへの転向は「キャリアハイ」からが正解
正直に言うと、フリーランスSEで成功している人の大多数は、サラリーマン時代に営業経験や人脈を積んでからの転向です。最初からフリーランスで成功する人は、きわめて少数です。
筆者も最初の3年は、サラリーマン時代の営業経験と人脈が大きな武器になりました。その後、継続案件が軌道に乗り、新規営業の負担が減りました。しかし最初の3年は、営業と実務を両立させることで、かなり疲弊していました。
次のステップ:未経験者が取るべき現実的な選択肢
未経験SEがフリーランスを目指すなら、以下の選択肢を検討してください。
- まずはサラリーマンで3〜5年の実務経験を積む —— 技術スキル、営業経験、人脈の全てが必要
- フリーランスエージェント経由での案件獲得を優先 —— 案件サイトより手数料が高いが、営業負担が軽い
- 知人企業への営業から始める —— 新規営業より成功率が高い
- 専門分野を絞る —— 「何でもできる」より「○○が得意」の方が営業しやすい
- 継続案件を1社でも確保してから、次の営業を始める —— 安定基盤がないと営業余力が出ない
実際には、フリーランス化は人生の重大な決定です。この記事で述べたデメリットを理解した上で、慎重に判断してください。筆者のように19年続けられるのは、最初の困難な時期を乗り切ったからです。その道のりは、決して簡単ではありませんでした。
フリーランスSEへの転向を検討しているなら
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