フリーランス案件獲得で新卒がよく勘違いすること
筆者はフリーランスSEとして19年活動してきました。その経験から見えてくるのは、新卒者が持つフリーランス案件獲得への期待と、実際の厳しい現実のギャップです。本記事では、よくある誤解を正直に解説します。
誤解1:新卒でもすぐに高単価案件がもらえるという幻想
「フリーランスなら時給5,000円以上?」「月80万円くらいはもらえるんでしょ?」
筆者は企業研修の講師もしていますが、毎年このような質問を受けます。正直に言うと、新卒者が企業勤めを辞めてフリーランスになった場合、最初の単価は月額30〜50万円程度が現実です。2026年現在でも状況は変わっていません。
高単価案件には以下の条件が必要になります:
- 3年以上の実務経験(最低限)
- 特定言語の深い知識(Go・Rustなど)
- 過去案件の実績ポートフォリオ
- クライアントからの信頼
新卒がいきなり獲得できるのは、大手案件紹介サイト(クラウドテック、レバテック等)でも月額40〜60万円の案件が相場です。これを見て「思ったより安い」と感じるのは自然ですが、実際には企業に勤めている新卒社員の給与と比較すると大きな差はありません。
誤解2:プログラミングスキルだけあれば営業不要という幻想
実際には、フリーランスの仕事の60%以上は営業活動です。これが新卒者にとって最も予想外の現実です。
筆者の営業時間の内訳(現在):
| 案件獲得営業・提案 | 月15時間 |
| 既存クライアント対応 | 月10時間 |
| 単純コーディング業務 | 月120時間 |
新卒時代の筆者は、プログラミングだけに集中できると思っていました。しかし実際には:
- 案件紹介サイトでの営業提案(不採用も多数)
- クライアントとの折衝・要件調整
- 契約書の確認・交渉
- 見積作成・レート交渉
これらすべてが「営業」です。技術力があっても営業がうまくいかなければ、案件は獲得できません。
誤解3:フリーランスは自由で休みが多いという幻想
「好きな時に好きなだけ休める」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。実際には逆です。
フリーランスには以下の制約があります:
- クライアント納期が絶対:企業員なら「体調不良で休む」も許されますが、フリーランスは許されません
- 収入が0になる:1日休めば1日分の収入が消えます(時給制でない限り)
- 営業活動を止められない:常に次の案件を探す必要があります
筆者の現在の休日は月2〜3日です。病気のときも納期があれば動きます。これは新卒時代には全く想像できませんでした。
誤解4:営業代行サービスで解決するという幻想
「マッチングサービスやエージェントがいるから営業は不要」という考え方もあります。これも半分正しく、半分間違っています。
2026年現在、主なマッチングサービスの手数料:
- クラウドテック:20%の手数料
- レバテックフリーランス:15〜20%の手数料
- ランサーズ:案件額の5〜20%の手数料
つまり月額60万円の案件を獲得しても、実手取りは48〜51万円です。
さらに実際には、こうしたサービスだけでは案件が途切れることが多いのです。筆者の経験上、安定した案件獲得には自分自身の営業が不可欠です。信頼できるクライアント営業担当者との関係構築が、結果的に単価を上げる最大の方法です。
2026年現在の実際のフリーランス相場と案件状況
参考までに、2026年現在のフリーランスSE相場を正直に示します:
| 経験0〜1年 | 月30〜50万円 | 案件少・単価交渉弱い |
| 経験2〜3年 | 月50〜80万円 | 案件数増加・単価改善 |
| 経験5年以上 | 月80〜150万円 | 選別可能・高単価化 |
| 経験10年以上 | 月100〜200万円 | 営業努力で相場上昇 |
注意点として、Web系と基幹システム系では相場が大きく異なります。2026年現在、AI関連(生成AI活用案件)の単価が急上昇しており、新卒がこの領域に入れば短期間で単価を上げられる可能性があります。
新卒がフリーランスで成功するために必要な現実的な心構え
筆者が19年の経験から学んだことは、以下の3点です:
- 最初の1〜2年は「修行期間」と割り切る:単価は低いですが、実務スキルと営業スキルを同時に磨く時間です
- 継続的なクライアント関係の構築を最優先にする:新規営業より既存クライアントとの継続が単価と案件の安定性を生みます
- 技術スキルだけでなく、ビジネススキルを磨く:見積作成・交渉・請求管理などの経営スキルが実は最も重要です
次のステップ:フリーランス独立前にやっておくべきこと
もし新卒でフリーランスを目指すなら、以下の準備をお勧めします:
- 最低2年は企業で実務経験を積む(可能であれば)
- その間にポートフォリオとなる案件実績を3〜5件作る
- 営業スキルの基礎(提案書作成・プレゼンなど)を学ぶ
- 月額生活費の6ヶ月分の貯金を準備する
独立後の最初の3ヶ月は案件がない可能性も高いため、資金的な余裕は必須です。正直に言うと、新卒から直接フリーランスになるのは「生存戦略」として非常にリスキーです。
筆者は新卒時代に企業で2年間の修行をしました。その2年が、その後の19年のフリーランス成功を支えました。あなたも同じ道を歩むことで、より堅実なフリーランスキャリアを築くことができるはずです。
フリーランスSEへの転向を検討しているなら
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