フリーランスSE・単価相場は上昇しているのに、なぜ稼げない人が多いのか
筆者がフリーランスSEとして活動を始めて19年が経ちます。この間、多くの未経験者が「フリーランスなら高い単価で稼げる」という幻想を持って独立し、その後苦労する様子を見てきました。
実際には、2026年現在のフリーランスSE単価は以前より上昇しています。案件サイトを見ると、月額60万~120万円の案件は珍しくありません。しかし単価の高さと実際の手取りは全く別問題なのです。
デメリット1:税金・社会保険料で3~4割が消える現実
会社員時代は気づきませんが、フリーランスになると税負担の重さが襲いかかります。
例えば月額80万円の案件を獲得したとしましょう。年間960万円の売上です。しかし手元に残るのはいくらでしょう?
| 項目 | 金額 | 割合 |
| 年間売上 | 960万円 | 100% |
| 事業税(所得税含む) | 約240万円 | 25% |
| 社会保険料(国民年金・国保) | 約90万円 | 9.4% |
| 手取り(推定) | 630万円 | 65.6% |
実際には控除額や計算方法で変わりますが、売上の3~4割が税金と社会保険で消えるのが現実です。会社員時代の給与が手厚く見えるのは、会社が負担していた社会保険料の存在を忘れているからです。
デメリット2:案件継続の不安定さと営業の負担
フリーランスの収入は継続性に大きく依存します。今月80万円の案件があっても、クライアント都合で3ヶ月後に終了することは珍しくありません。
実際に筆者が経験した事例:
- 大型案件6ヶ月契約で月85万円→ 4ヶ月目に予算削減で終了
- 「継続予定」と言われていた案件が、クライアントの経営悪化で即終了
- 次の案件が見つかるまで2ヶ月間、収入ゼロ
案件が終了すれば、自分で営業して次の仕事を探す必要があります。営業・提案資料作成・単価交渉にかかる時間は、月10~20時間程度。これは給与を発生しない労働時間です。
デメリット3:単価交渉で失敗すると、その後も低い単価で続く
未経験のフリーランスSEが陥りやすい罠が、最初の案件の単価決定です。
焦っていると「月50万円でいいです」と低く提示してしまい、その後「この案件が基準」とされてしまいます。業界慣習として、過去の成約実績は次の交渉の下限値になります。
筆者の観察では、2026年現在:
- 経験3年以上で月60万円以上が標準
- クラウドソーシング初出品は月30~40万円に下げられやすい
- 一度低い単価で受けると、新単価提示まで1~2年かかる
最初の案件の単価決定の失敗は、累積で数百万円の損失につながります。
デメリット4:福利厚生・教育投資がすべて自己負担
会社員では当たり前の恩恵が、フリーランスではすべて自費です。
- 健康診断・歯科治療:全額自己負担(経営者健診も高い)
- 技術研修・資格取得:教材費・受講料を自分で捻出
- PCやツール購入:減価償却で控除されるが、初期投資は自己資金
- 有給休暇なし:休めば収入がゼロ
会社員時代の福利厚生を金額換算すると、年100~150万円程度の価値があります。これらがフリーランスの実質手取りを大きく圧迫しています。
デメリット5:健康悪化のリスクが高い
フリーランスは案件が多ければ多いほど稼げます。そのため無理をしやすい環境です。
実際に筆者が見てきたケース:
- 月100時間以上の残業が常態化→ 40代で健康診断で要治療判定
- 案件を休めない心理で、体調不良でも出勤→ 重症化
- 健康保険の任意継続を削減→ 医療費が家計を圧迫
健康を損なえば、稼ぐ能力そのものが失われます。これは単なる「デメリット」ではなく、人生設計の根幹に関わるリスクです。
正直に言うと、単純に「単価×月数」では計算できない
月80万円のフリーランスと月50万円の会社員を比較すると、フリーランスの方が稼いでいるように見えます。しかし実際には、税負担・営業時間・福利厚生・健康リスクを考慮すると、実質的な生活満足度はむしろ低いかもしれません。
この記事を読んで「フリーランスSEは割に合わないのか」と思われるかもしれません。しかし19年続けている筆者が独立を後悔していないのは、デメリットを理解した上で戦略的に対応しているからです。
次のステップ:デメリットを知った上で、独立を判断する
もし今フリーランス独立を検討中であれば、以下の3点を確認してください。
- 現在の会社員給与+福利厚生を金額換算し、フリーランス単価との実質差を計算したか
- 案件が終了した場合の生活費3~6ヶ月分を貯蓄しているか
- 最初の案件でも「相場から大幅に低い単価」での受託を避ける決心があるか
デメリットを理解し、対策を講じた上での独立であれば、フリーランスSEは確かに会社員より充実した人生につながります。ただし、無防備な独立は危険です。
筆者の19年の経験から最後のアドバイスとしては、焦らず、貯蓄と準備が十分なタイミングで独立することが、長期的な成功の最大の秘訣だと確信しています。
フリーランスSEへの転向を検討しているなら
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