管理工数の見積もり方法
システム開発工数の見積もりをユーザーであるお客さまに提示すると「なぜそんなに管理工数が必要なのか?根拠を示してください。」ということを言われることがあります。
このような質問に対して、きちんとした回答を準備しておかないと、その場でしどろもどろになって、残念な結果になってしまいます。
ただ、ここでお客さまのいいなりになって管理工数を削ってしまうと、そのプロジェクトは進捗遅れが頻発したり、品質もズタズタになってしまいかねません。
これまでの経験則から全体工数の2割程度を管理工数として見積もっているところも多いようですが、最近では通用しないことも多いです。
ただ、根拠さえしっかり示すことが出来ればお客さまも納得して頂けます。
ですので、管理工数の見積もり根拠はしっかりと答えられるようにしておきましょう。
それでは具体的に管理工数の見積もりはどのようにすればよいか、以下に説明します。
最初に管理工数の作業項目を整理する
まずは管理工数の作業項目を整理することから始めます。
プロジェクトの性格や規模によって異なりますが、設計やコーディングといった純粋なシステム開発とは別に、大きく以下の管理項目があり、相応の工数がかかるということをお客さまに理解してもらいましょう。
「進捗管理」であれば、「WBSの作成」や「進捗報告書の作成」、「定例進捗MTの開催」などがあげられます。
「品質管理」であれば、「設計書やプログラムの有識者レビュー」、「変更管理/障害管理」なら、「仕様変更の受付や影響調査」、「テストで出た不具合の管理」など、具体的な作業項目を上げていくのです。
他にも「要員管理」や「納品作業管理」なども管理作業項目としてあげらます。
このように、具体的にどのような管理作業が発生するかをまずは明確にしていくのです。
管理作業にかかる工数を精緻化する
管理作業項目が整理できたら、それぞれの工数を精緻化していきます。
たとえば「定例進捗MT」という作業項目に対しては、
出席人数(10人) × 週2時間 × 4週 = 約10人日
という式で求められます。
品質管理も同様に、設計書やプログラム本数に応じて、レビュー時間を算出します。
設計書数(100本) × 1時間 = 約12.5人日
といった具合です。
これら管理作業に必要な工数を積み上げて、工数の根拠を明確にしていきます。
最後にお客さまと調整して妥協点を探る
このように計算していくと、最終的には管理工数は開発工数の1割〜2割に落ち着くことが多いです。
ただ、最初から「2割が管理工数です」というよりも、管理作業項目を明確にして、積み上げ式で見積り根拠を示したほうがお客さまも納得して頂ける可能性は高いです。
お客さまと調整する際の、重要なポイントは以下の2点です。
・管理工数は必要なものであるということを理解いただくこと
・管理作業の時間と成果物を明確にすること
それでも、どうしても管理工数は削って欲しいという要望が強い場合には、たとえば進捗管理に掛かる分の作業はお客さまで実施頂いたり、システム開発コストに管理工数を薄く上乗せするなどして、妥協点を見つけるしかありません。
このように「プロジェクトを成功に導くためには管理工数は必要なコストである」ということをお客さまに理解頂くことが重要です。
システム開発プロジェクトは品質の高いシステムを納期通りに提供することが一番の目的です。
お客さまのいいなりになって安易に管理工数を削ることだけは避けたほうがよいでしょう。
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